顧客や社員情報、財務状況、新規事業の計画など、企業には重要な情報が記載された機密文書が多く存在します。全てを書類保管し続けるわけではなく、不要となった文書を処分する可能性もあるはずです。ただし不適切な形で処分すると、情報漏洩をはじめとするリスクが発生します。
今回は、機密文書廃棄が重要である背景、機密文書廃棄の方法や安全に行うポイントについて解説します。
機密文書廃棄が重要である背景
機密文書廃棄が重要である背景を解説します。
- 情報漏洩のリスク
- DX化の推進や電子データの増加
特に押さえておきたいのが情報漏洩です。企業の存続そのものに関わる可能性もあるため、そのリスクをしっかり把握することをおすすめします。
情報漏洩のリスク
機密文書廃棄でまず考慮すべきなのは、情報漏洩のリスクです。機密文書は、個人情報の保護に関する法律や不正競争防止法において保護対象になるため、重要な情報を漏洩させることは犯罪にあたります。過去には退職した社員が機密文書に記載された情報を漏洩したことで、逮捕された事例もありました。
また、機密文書廃棄を業者に依頼する場合、その過程で情報が漏れる可能性もあるため、業者選びを慎重に進めなければいけません。責任を持って機密文書を廃棄したつもりでも情報が抜かれ、結果的に情報漏洩の危険性があるので注意が必要です。
DX化の推進や電子データの増加
DX化の推進もあって、ペーパーレス化やデバイスの入れ替えが行われています。これにともない、企業は機密文書を廃棄する機会が訪れやすくなります。例えばペーパーレス化に伴い、不要となった書類の大量処理が必要となる可能性があります。このタイミングを狙って、企業の機密情報を盗もうとする悪質な業者も現れやすくなります。ペーパーレス化や機材の入れ替え時期が危険であることをふまえて機密文書廃棄を行うことが大切です。
また紙による機密文書だけでなく電子データで管理する企業が増えています。適切な方法でデータを削除して廃棄したとしても、HDDやSSDなどのデバイスから情報が復元されることもあります。情報が復元されて他社の手に渡ると、悪用される危険性もあるので注意しなければいけません。確実にデバイスを破壊して処分する等、削除した情報が復元されない対策が必要になります。
機密文書の廃棄方法
機密文書の廃棄方法を4種類紹介します。
- 焼却処分
- 溶解処理
- シュレッダー
- デバイスの処分
機密文書を廃棄するにあたって、まず検討しなければいけないのが廃棄方法です。各廃棄方法の特徴はもちろんのこと、メリットやデメリットも異なります。それぞれの特徴を理解したうえで、適切な方法で機密文書を廃棄しましょう。
焼却処分
焼却処分は、機密文書を業者が回収して箱ごと焼却する方法です。機密文書を燃やすため、情報を完全に抹消できます。また、機密文書の量が多くても短時間で処分できるのも特徴です。焼却処分できる機密文書は紙書類だけでなく、CD-ROMやステープラーの針なども処分できます。
ただし、近年は焼却によって大量の二酸化炭素が排出されることが問題視されています。世界的な環境意識の高まりからごみ全体に対して「脱・焼却」の考え方が進んでいるのが現状です。さらに、焼却処分サービスを提供する専門業者は少ないため、探すのに時間がかかるデメリットも考えられます。
溶解処理
溶解処理は、水と混ぜて鋭い刃で粉砕して機密文書を処理する方法です。機密文書を完全に液状化して抹消できるため、セキュリティ性の高い廃棄方法として利用する企業も少なくありません。クリップやホチキスなどを取り外す必要はなく、廃棄したい機密文書を詰めた箱を専門業者に渡すだけです。
また、基本的に機密文書が詰められた箱は開封せず溶解します。誰の目にも触れることなく機密文書を処分できるため、情報セキュリティの観点からも安心です。溶解された機密文書は、紙として再利用されるため環境にも配慮できます。しかし、溶解処理の費用は比較的高くなるのでデメリットです。
シュレッダー
もっとも一般的な廃棄方法が、シュレッダーです。シュレッダーは機密文書を切断破砕する機械で、少量であれば会社で処分できます。しかし会社に置ける小型シュレッダーは、紙しか粉砕できないため文書に留められたホチキスを外さなければいけません。大量の機密文書を廃棄したい場合は、時間がかかるので人件費の面からも非効率でしょう。
大量の機密文書を処分したい場合は、専門業者に依頼して大型シュレッダーで処分するという方法もあります。ただし溶解処理とは異なり、機密文書を詰めた箱を一度開封しなければいけません。依頼者は処分に立ち会うわけでもないため、機密文書に記載された情報が漏れる可能性があります。セキュリティ面での安心度は、焼却処分や溶解処理に比べて低いです。
デバイスの処分
デバイスの処分は、文書が電子データである際に有効な処分方法です。データを初期化しただけでは復元される可能性があるため、重要なデータが入ったデバイスは、物理破壊処分の依頼をおすすめします。
機密文書廃棄を安全に行うポイント
情報漏洩や情報の悪用などのリスクを回避するためにも、機密文書は安全に廃棄することが重要です。機密文書廃棄を安全に行うために注意したいポイントには、次のようなものが挙げられます。
- 廃棄処理の過程を追跡する
- 情報の保存場所を把握する
- 電子文書は完全削除する
- 信頼できる廃棄業者を選ぶ
廃棄処理の過程を追跡する
安全に機密文書を廃棄したいならば、廃棄処理の過程を追跡しましょう。専門業者に依頼するときは、機密文書を専門業者に渡したあとに箱を開封されて中身を見られる心配もあります。そこから情報が漏洩して悪用される危険性もあるため、廃棄処理の過程をしっかり把握しておくことが大切です。専門業者に廃棄処理されるまでの工程を詳しく説明してもらい、できる限り廃棄過程を見届けましょう。
情報の保存場所を把握する
電子データを記録したデバイスを廃棄するときは、情報の保存場所を把握しておきましょう。情報の保存場所や内容がわからないと、完全にデータを消去できません。また、近年はUSBメモリやHDDなどさまざまな方法で情報を記録できるため、IT資産管理を社内で徹底することが大切です。電子データによる機密文書の廃棄漏れを回避しましょう。
電子文書は完全削除する
電子文書は、第三者にデータが復元されないように完全に削除することが求められます。クラウド上で機密情報を管理している場合、社員個人のデバイスにデータを残さない対策も必要です。少しでもデータの削除漏れがあると、情報漏れにつながるだけでなく悪用される危険性もあります。電子文書の保存場所を把握したうえで完全に削除しましょう。
信頼できる廃棄業者を選ぶ
機密文書の廃棄を請け負う業者は多く存在します。機密文書の処分を依頼する場合は、信頼できる業者に依頼することが大切です。信頼できる業者とは、セキュリティ面に配慮して機密文書を廃棄してくれる業者のことです。さまざまな物品の廃棄を請け負うサービスではなく、機密文書の廃棄を専門に行うサービスのほうが、安全性が高いプランを設定している傾向にあります。なかには依頼者が希望すれば廃棄に立ち会える廃棄業者もあります。廃棄工程に不安があるなら、セキュリティ体制の充実度を確認して廃棄業者を選びましょう。
まとめ
機密文書を廃棄する代表的な方法には、焼却処分・溶解処理・シュレッダーなどがあります。それぞれ廃棄方法が異なるだけでなく、セキュリティ面にも違いがあるので特徴を理解したうえで適切な方法を選ぶことが大切です。
近年は、デジタル情報や機密書類の管理・廃棄を支援する専門業者もあります。デジタル情報や機密書類管理に不安があるなら、このようなサービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか。