文書管理には課題がつきものです。文書には大きく分けて紙と電子があり、課題の種類が変わります。管理上の問題は多岐に渡ることから、頭を悩まされる方も多いのではないでしょうか。
課題解決のためには、発生した原因をおさえたうえで、適切な対処をおこなうことが大切です。
この記事では、文書管理に発生しがちな課題とその原因を解説しつつ、紙・電子両方で活用できる解決法を紹介します。
書類管理によくある課題
まずは書類管理によくある課題を紹介します。自社が今抱えている課題や、これから発生しそうな課題はないか、チェックしてみましょう。
管理の負荷やコストがかかる
業務上管理しなくてはならない書類は、実にさまざまです。すべての文書を分類・管理するための業務をこなさなくてはなりません。
- 紙への出力または電子データ化
- ファイリング
- 収納
- 閲覧・持ち出しデータ管理
どの業務も手間とコストが発生します。状況により、ほかの業務を圧迫するほど手間やコストがかかってしまうケースもあるでしょう。書類管理にかかる手間とコストは、業務に必要な以上、完全に解消することはできない課題でもあります。
管理や閲覧時の手間
契約書や一部の書類は、紙で管理しなくてはなりません。紙の資料は保管スペースが必要なうえに、場所を取ります。保管方法により大量の資料を移動しなくてはならない場合もあるでしょう。大量の紙類を運ぶのはとても大変です。
そのうえ、紙の文書を探すときは、いちいち保管場所へ行きファイルなどを閲覧しながら探さなくてはなりません。これも課題のひとつといえます。
では電子なら簡単かというと、そういうわけではありません。ただサーバーやPC上にファイルを作成しているだけだと、ほしい資料を検索しても合致しない・見つからないなどの問題が発生することがあります。
結果、電子化しているのに資料を持っている人からデータをもらうなど、本末転倒な事態を招いてしまうのです。
情報漏洩のリスク
紙・電子共通の悩みは、管理や検索時の手間だけではありません。情報漏洩リスクへの対策も、多くの会社が頭を悩ませている問題です。
会社が扱うものの中には、社外秘や個人情報などの重要な内容が記載されたものがあります。これらが外部に流出してしまうと、自社の損失につながるだけでなく、社会的な信用まで無くしてしまいます。
情報漏洩対策は、紙と電子でやり方が異なるうえに、それぞれの方法を資料に関わる従業員全員に周知徹底しなくてはなりません。そのうえ、完全に防ぐのは非常に難しいです。これも課題のひとつといえます。
書類や情報の俗人化
個人が持つファイルやメモリ・PCを使って管理されている文書は、基本的に当人以外閲覧・管理できません。情報漏洩を恐れるあまり、厳重に管理してしまう方もいます。これでは、必要な人が適切に資料にアクセスできなくなります。
書類やそのありかなどの俗人化は、業務の停滞を生み出すだけでなく、大きなトラブルにも発展する頭の痛い問題です。
サーバーの容量圧迫
電子で文書を管理している場合によくある課題が、サーバーの容量圧迫です。大量のメールや文書をサーバー上で管理していると、メモリを圧迫してしまいます。どんなにメモリが大量にあっても、上限を迎えてしまえば必要な情報を保存できません。
サーバーの増設や管理にもコストがかかります。容量がいっぱいになったからといって、簡単に増やすこともできません。電子ならではの、頭の痛い問題といえるでしょう。
二重管理の発生や版管理の手間
こちらも電子によくある課題です。電子データで資料などを管理している方の中には、文書データを、ファイルサーバーだけでなくローカルPCやメモリに残しておく人がいます。
サーバーにアクセスできなくなっても仕事ができるようにするための対策ですが、パソコンなどの容量を圧迫してしまううえに、俗人化の問題にもつながります。また、複数のデータがあると、どれが最新版か分かりにくくなるのも問題です。
また、電子データは便利ですが、ひとつのファイルで複数の版を管理するのは難しいです。複数管理するには、ファイル名を変えるなどの手間がかかります。急いでいるときなどに運用ルールを忘れてしまうと、上書きによってデータが閲覧できなくなるなどのトラブルにつながることもあります。
電子データは便利ですが、同時に課題も抱えています。活用の際は、電子データならではの問題に注意しなくてはなりません。
文書管理の課題解決策
さまざまな課題がある文書管理ですが、どうすればこれらの課題を解決できるのでしょうか。次は、文書管理における課題解決策を解説します。紙・電子どちらにも活用できる方法ですので、課題解決にお役立てください。
電子化できる文書は文書管理システムを活用する
紙と電子では、電子の方が場所を取らず、管理・閲覧が簡単です。必ず紙で残さなくてはならない資料以外は、すべて電子化しましょう。電子化したデータは、そのままサーバーで管理するのではなく、文書管理システムで管理してください。
文書管理システムには、管理上の課題を解決するためにさまざまな機能が搭載されています。
- 検索機能
- 更新日管理
- 閲覧・持ち出し管理
文書管理システムには、日時やキーワードなど、複数の方法で資料を検索できる機能が搭載されています。システムを使えば、いちいち資料を探し回る必要がありません。
更新日も記録されているため、版が分からなくなっても管理機能を使えば確認なども簡単にできます。閲覧や持ち出しをした人の管理もできるので、最後に資料を使った人や、使用頻度の分析も可能です。
閲覧や持ち出しをした人が分かれば、万が一の事態が発生してもだれが・何が原因かを調べることができます。文書管理システムは、書類のセキュリティ管理にも有効です。
関連記事：文書保管サービスとは？メリットとデメリットや自社に適したサービスの選び方を解説
文書の破棄ルールを明確にする
書類管理の課題が発生する原因のひとつに、不要な書類があります。不要な書類が大量にあると、その中に業務に必要なものが混じってしまいます。資料が探せない・文書の紛失などの問題が発生するのは、このためです。
このような問題を防ぐには、不要な書類を定期的に破棄しなくてはなりません。効率的に不要なものを破棄するためにも、文書の破棄ルールを明確化しましょう。ルールに沿って定期的に不要なものを破棄していれば、いつでも必要な書類を探せる環境を構築できます。
ルールの決め方は業務や書類の内容にあわせて決める必要がありますが、一定期間の利用頻度をもとに基準を決めるのが一般的です。
- 1年間利用頻度の高かった書類は保管する
- 2年以上使っていない書類は破棄する
上記のようなルールを決めておけば、該当する書類を見つけた人がそのまま破棄できます。文書管理において、破棄は重要な要素です。だれでも効率的に判断できるよう、処分分かりやすい処分ルールを作成し、社内に周知しましょう。
関連記事：会社における書類保管の流れは？保管上の注意点についても解説
ファイリングや階層分けを工夫する
紙・電子共に資料などはファイリングして管理します。このファイリングを工夫するだけでも、課題解決につながります。
紙の場合は、文書の種類や活用方法により、ファイリング方法を選びましょう。ビジネスでよく使われているものとしては、以下の方法があります。
- バーチカルファイリング：クリアファイルやファイリングフォルダに同じまたは業務上共通性のある文書をまとめ、キャビネットやボックスに収納する方法。ファイルに閉じる分取り出しやすいが、紛失リスクがある。
- バインダーファイリング：バインダーなどの集めのファイルに書類をとじて棚などに保管する方法。背表紙や表紙にタイトルや見出しを記載し、何が入っているのか分かりやすくするのが、管理上のポイント。ファイリングに手間がかかるうえに場所を取るが、検索しやすく紛失しにくい。
- ボックスファイリング：クリアファイルやファイリングフォルダを使い、種類ごとに書類を分類・収納する方法。こちらも取り出しやすい分、紛失リスクがある。
どれもメリット・デメリットがありますが、ルールを守って管理すればデメリットを軽減できます。電子資料はファイリングできませんが、ファイルを改装に分けて管理することで代用できます。
誰が見てもどこに何があるのか分かりやすい方法で管理するのがポイントです。
まとめ
文書管理の課題はたくさんあります。
しかし、便利なツールや管理ルールを徹底すれば、解決可能です。課題解決に取りかかる際は、業務や課題に合わせた、適切な解決方法を実施しましょう。
